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Meanwhile in Africa...

アフリカで今起こっていることを日本の皆様に正しくお伝えするため、海外大手ニュースサイトの記事を日本語で要約して発信します。

ハリウッドが教えてくれること -映画に見る開発課題-

皆さんはハリウッド映画や外国映画はお好きですか?

このたび、世界銀行が、数にして51の映画を「開発課題の映画的描写を探求するための入門映画」として選定し、推薦しました。

 というわけで、今回は、アフリカだけでなく、アフリカを含む開発途上国、紛争国に関する記事です。

 

(原文:the guardian; http://www.theguardian.com/world/2013/sep/04/hollywood-war-poverty-film;accessed 5th Sep 2013)

 

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国際開発課題というものは、平均的な西洋人が日ごろ考えることのリストの、まさに最後の方にある。

オックスファムなどによる、批判も多いがセンセーショナルな宣伝活動を除けば、人々はどういった手段で彼らを取り巻く世界について学んでいるのでしょうか?

 

ハリウッドはその手段の一つでしょう。

アフリカについての報道はアメリカではあまり注目を集めませんが、レオナルド・ディカプリオ主演のシエラレオネにまつわる映画は確実に注目されます。

「ブラッド・ダイヤモンド」のような映画は、問題もあることはさておき、シエラレオネの内戦の話を多数の聴衆に知らしめます。

この映画が取り上げた、いわゆる紛争ダイヤモンドについては、すでに聞いたことのあった人も多いでしょう。

しかし、この映画は、キンバリープロセス(ダイヤの原石に原産地証明書の添付を義務づけることで紛争ダイヤを国際市場から締め出すための制度)とその導入経緯についてわかりやすい説明をしてくれます。

さらに、賛否はあれど、この映画はおよそ171億円の興行収入をもたらしました。

 

ハリウッドの持つ影響力に鑑み、世界銀行の研究者たちが、このような映画が開発課題について実際どういったメッセージを発しているのか分析を行いました。

ふつう、批評家は複雑な問題の通俗的描写を簡単にはねつけます。

貧困や紛争の原因と影響を過剰に単純化して伝えることに懸念を示すのはもっともです。

しかし研究者たちはこの点を認識した上で、映画の視聴者の規模を考えれば、映画内での通俗的な描写を真剣に分析する必要があると考えます。

 

研究者たちは、大衆映画は開発課題の認知度を上げることができる一方で、しばしば視聴者に間違った情報を与えることもありうると結論付けました。

大衆映画で描かれる開発課題は、往々にして、映画の核となる要素ではなく、話の展開を後押しする要素として組み込まれています。

視聴者が重要な問題を知るきっかけとなるという意味では便利ですが、映画の最後にはこういった問題はいつの間にかなりを潜めているのが常です。

製作側の意図により、映画の最後に視聴者の印象に残るのは、登場人物とそのラブストーリーといったものなのです。

 

また、紛争を扱った映画は、比較的わかりやすい善と悪の二項対立によって紛争を描きがちですが、実際は全ての当事者に問題があるものです。

「紛争を扱った良作は、善と悪の単純対立を描くのをやめ、複雑な人間模様を描き出します。善と悪という概念の、時と場所によっての流動性と多義性そのものが、人類が悲劇を生み出す要素となりえる。しかしながら他方で、時にそれが、幸運でひたむきで時機を読める者にわずかな解決の機会を与える要素ともなりえる、ということを示そうとしているのです。」

 

映画の限られたストーリー展開の中で、開発課題は往々にして過剰に単純化されて描かれます。

より多くの視聴者に見てもらうことも大事ですが、単純化が事実の歪曲に近づけば、問題は大きくなります。

また、西洋人が世界の紛争や不平等に対する良心の呵責やジレンマなどで苦悩している姿を描く映画は、しばしば視聴者に教訓的・教育的な見方を提示し、そのような見方が開発課題の通俗的理解を形成していきます。

つまり、よく言えば開発課題への関心喚起や政治問題化へもつながりますが、他方で、こういった映画にはしばしば現地の声が欠如しがちだという問題点もあります。

 

以下の51タイトルが、研究者たちが推薦する映画です。

(筆者のほうで邦題のわかるものは邦題を付しました。

以下、原題・(製作年)・「邦題」の3項目を記載しています。

邦題のあとに?を付したものは、正式な邦題かどうか不明なものです。)

 

Apocalypto (2006) 「アポカリプト

Avatar (2009) 「アバター」

Bamako (2006) 

Beyond Borders (2003) 「すべては愛のために

Black Robe (1991) 「ブラック・ローブ」

Blood Diamond (2006) 「ブラッド・ダイヤモンド」

Cannibal Tours (1989) 「カニバル・ツアー」?

Casino Royale (2006) 「007 カジノ・ロワイヤル

Circle of Deceit (1981) 

City of God (2002) 「シティ・オブ・ゴッド

Critical Assignment (2003) 「クリティカル・リポート」

Dirty Pretty Things (2002) 「堕天使のパスポート

Entre Nos (2009) 

Even the Rain (Tambien la lluvia) (2010) 「ザ・ウォーター・ウォー」

Gandhi (1984) 「ガンジー

Gangs of New York (2002) 「ギャング・オブ・ニューヨーク

Gangster's Paradise: Jerusalema (2008) 「ギャングスターズ・パラダイス」

Hotel Rwanda (2004) 「ホテル・ルワンダ

In the Loop (2009)

Johnny Mad Dog (2008) 「ジョニー・マッド・ドッグ」

Journey to Banana Land (1950)

Jungle Drums of Africa (1953)

La Yuma (2010)

Men with Guns (1997)

Missing (1982) 「ミッシング」

Salaam Bombay (1988) 「サラーム・ボンベイ!」

Salmon Fishing in Yemen (2011) 「砂漠でサーモン・フィッシング

Salvador (1983) 「サルバドル/遥かなる日々」

Sin Nombre (2009) 「闇の列車、光の旅」

Slumdog Millionaire (2009) 「スラムドッグ$ミリオネア」

Tears of the Sun (2003) 「ティアーズ・オブ・ザ・サン

The Beach (2000) 「ザ・ビーチ

The Constant Gardener (2005) 「ナイロビの蜂

The Day after Tomorrow (2004) 「デイ・アフター・トゥモロー

The Fog of War (2003) 「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」

The Gods Must be Crazy (1981) 「ミラクル・ワールド/ブッシュマン

The Hurt Locker (2008) 「ハート・ロッカー

The Killing Fields (1984) 「キリング・フィールド」

The Last King of Scotland (2006) 「ラストキング・オブ・スコットランド

The March (1990)

The Mission (1986) 「ミッション」

The Motorcycle Diaries (2004) 「モーターサイクル・ダイアリーズ

The Painted Veil (2006) 「彩られし女性」

The Year of Living Dangerously (1982) 「危険な年」

Tsotsi (2005) 「ツォツィ」

Turistas (2006) 「ブラッド・パラダイス」

Under Fire (1983) 「アンダー・ファイア

Viva Zapata (1952) 「革命児サパタ」

Volunteers (1985) 「ピース・フォース」

White Material (2009) 「ホワイト・マテリアル」?

 

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日本でも有名なものも多いですね。

いくつかはご覧になったことがあるのではないでしょうか?

タイトルで検索すればあらすじが出てきますので、気になるものを選んで、秋の夜長に、是非ご覧になってみては如何でしょうか。

 

このような映画を観るとき、そこに描かれている世界の課題について、映画を見ることで何かを理解した気になるのではなく、そういう課題がおそらくは単純化されて描かれているということや、別の視点から見れば全く違ったストーリーが語られうるということ、そして、そもそも映画に反映されていない人々の視線など、より深く広い現実に思いを馳せて、今後も世界の課題について考えていくきっかけとして頂ければ幸いに思います。